
このフランスの蚤の市で購入した古着のシャツは、1900年代初頭のフランスで見られた chemise(シュミーズ) や biaude(ビヨード) と呼ばれる衣服に近いものです。

当時のこれらは、現代の「シャツ」というよりも、
室内着と作業着のあいだにある、生活に密着した衣服でした。
洗濯を外部に任せることも多かった時代、
衣類には持ち主を示すためのイニシャルや記号が入れられていました。
このシャツに残る小さな刺繍も、そうした痕跡のひとつです。

ゆったりとしたシルエットは、
寝間着や部屋着として使われていた背景とも重なります。
実際に、パジャマのように着られていたとも言われています。
一方で、労働の場ではインナーとして、
あるいは軽作業用のシャツとしても使われていました。
この上にベストやジャケットを重ねるのが、当時の一般的な装いです。

この個体は、後ろ身頃の下部で生地が切り替えられており、
タックインしやすい構造になっています。
こうしたディテールからも、単なる一枚着ではなく、
レイヤードを前提とした衣服であったことが想像できます。
当時は、今のように安価な既製服が広く普及しておらず、
衣服は限られたものを長く使い続けるのが当たり前でした。
そのため、体型を選ばないゆとりのある設計や、
日常と労働の両方に対応できる構造が、多くの衣服に見られます。

農民や労働者にとって、服は消耗品でありながら、
同時に“使い続けるもの”でもありました。
新品を頻繁に手に入れることは難しく、
衣服は修理され、受け継がれ、流通していきます。
このシャツには、そうした時代の空気が静かに残されています。
プリクエルでは、こういったヴィンテージの衣服をベースに、
当時の生活や背景に思いを巡らせながら、現代のかたちへと再構築していきます。








